1、例えば、一生懸命歯磨きしているのに虫歯になるのって何故?
多くの方の認識は「歯磨きが悪いから虫歯になった」と思っているでしょう。実は原因は「歯磨きが悪い」だけでは無いのです。う蝕研究で有名なAxelson(アクセルソン)教授は、初期のう蝕は咬合異常によるエナメル質のマイクロクラック(微小なひび割れ)が原因と言っています。これは、世界的にはEBM(根拠に基づく医療、evidence-based medicine)として歯科界としてもコンセンサスを得ています。しかし、日本では、まだ解っていない歯科医師が多いのも事実です。もちろん、歯磨きの問題、歯質の強さ、糖などの要素もあります。仮に理論は解っていたとしても、「原因となる咬合の診断が分からない」、「治療のアプローチが分からない」のが一般的な歯科医の限界です。
何故なら、日本の大学では、咬合理論やその治療方法は教育されていないからです。
私たちは、世界標準の診査診断、そして最新の治療を学んできました。そしてそれを日々実践しています。
2、例えば、歯周病は一生治らないと思っていませんか?
結論から言いますと、ほぼ治ります。
ただし、歯周病だけでなく、咬合や矯正、外科的スキルなどのグローバルな見地が必須条件です。
前項で述べたように、自然科学の原因は単純ではないのです。歯周病も同様です。歯磨きを一生懸命すれば歯周病が治るという単純な話ではないのです。
以前に、メンテナンスで有名な某先生の症例を見せていただいた事がありました。凸凹(デコボコ)の歯並びの若い女性の方でしたが、初診時は、歯ぐきから自然出血するほど酷い状態でしたが、某先生の手にかかったら、見事に出血の無い張りのある歯ぐきに変わっていました。一瞬、凄い!と思ったのですが、通院頻度は?という疑問点が残りましたので、早速質問してみました。某先生は「月に2回メンテナンスで来院されています」と自信たっぷりに答えていました。「月に2回」って!凄いと思いませんか?一年で24回、10年で240回。そんなに通院出来る人って日本にどれだけいますか?
それより、歯列矯正で凸凹の歯並びを治して、家庭でのブラッシングも楽にしてあげた方が、審美的、機能的にも長期的に健康な人生を歩めると思いませんか?つまり、矯正で歯周病も治るという一例です。
どんなに、専門分野で優れていても、周りが見えなければ、まさしく「木を見て森を見ず」になってしまします。
結論、私たちは、咬合、歯並び、全身的アプローチ、再生療法等様々な角度から、歯周病もほぼ治します。
3、例えば、治療したのに奥歯がすぐダメになるのって何故?
補綴物の適合や、前述したように、歯並びの要素もありますが、多くは咬合が原因です。説明すると、図のように、歯の嵌合位(上下の歯の山と谷が最大面積で噛みあう位置)と下顎中心位(下顎が顎の関節内で最も安定する位置)とのズレが大きいと、最初に当たる歯が欠けたり、動揺の原因となります。歯周病も加速度的に悪化もします。ズレがある方の多くは図のように顎関節が安定していれば、上下の奥歯が、最初に当たります。
ただし、そのままでは、噛み合わせが安定しないので、普段は上下の歯をしっかり噛み合せてしまいます。そうすると、図のように、逆に顎関節は浮いてしまいます。これを繰り返すと、奥歯がダメになってしまうか、顎関節症(顎関節に障害をきたす病気)のどちらかになってしまいます。
これは、失った歯をそのままにしておくと、この現象が起きやすくなります。
これが臼歯(奥歯)がダメになるメカニズムです。この症状(Posterior bite collapse)が起きると、奥歯がダメになってしまいます。ついには、図のように奥歯が無くなってしまうわけです。
こうなったら、もう崩壊の連鎖は止まりません。前歯だけでは、全体の咬合力を受け止められません。おのずと、残存歯への負担過重で前歯もやられてしまい、一気に無歯顎となってしまいます。 私たちは、1本の歯が不幸にして失われたら、その後に起こりうる事を様々な角度から検証します。グローバルトリートメントは、将来の事象も考えて、噛み合わせを、しいては全人(全身)的見地から、口腔を診ていきます。