健康保険の窓口支払はどうして「カード」はダメなの? | 仙台市青葉区の歯科 ホワイトブライトデンタルオフィス

健康保険の窓口支払はどうして「カード」はダメなの?

平素はホワイトブライトをご愛顧頂きありがとうございます。
保険で何故カードが使えないのか?の質問を寄せられる事があります。
結論から申し上げますと、「健康保険治療ではカードは利用は出来ません
その理由を説明させて頂きます。

 当院はガイドラインに基づいたコンプライアンスの高い医療機関を目指しています。
健康保険法第74条で治療費は「徴収」と明記されています。実はカード支払が全くダメという訳ではありません。カードでも窓口支払額と同額が支払われる方法であれば、何も問題はありません。
では何が問題なのでしょうか?
①最大の問題はカード払いで付与される「還元ポイント」です。「還元ポイント」は実質窓口負担の割引にあたり、その違法性が問題視されてきました。ポイント還元が全くないカードシステムは存在しませんので、現実問題としてカードは扱えないという事になります。

②また、広告規制の面からも問題があります。カードの取り扱い医療機関だけが優位になる、との見解で禁じられています。時代錯誤も甚だしいとは思いますが、医療機関は特別な優位性を謳って患者さんを誘導してはいけないと「医療機関の広告に関するガイドライン」に明記されています。カードの取り扱いはそれに抵触するとのことです。バカバカしい話ですが、日本全国、全ての保険医療機関でカードマシンが導入されない限りは「NO」です。

③キャッシュレス化を勧める国策としては矛盾しているように思われますが、平成23年11月2日の中医協の通達でポイント還元は「違法」との見解が示されています。その後も、「違法」を覆す通達は発せられておりませんので、ポイント還元付きのカードでの支払いは現時点では「違法」となります。

④また、医療機関からカード会社への「振り込み手数料」が、保険診療の値引きに相当するという理由で取り扱わない医療機関がありますが、これはその医療機関の会計処理が間違っているからです。正しくはカード手数料は「売上高」と相殺するのではなく、「販売管理費」で経費計上すれば問題ありません。よって、「支払い手数料」がカードを扱えない理由にはなりません。もし、この理由でカードの取り扱いを拒否している医療機関があれば、それは間違いです。ただカード会社に振込手数料を払いたくないケチな医療機関です。しかし、いずれにしても保険でカードを扱う事は出来ません。

ちなみに、健康保険の窓口支払いと同じように、値引きを禁じている品目は
・タバコ(ライター等の景品を付けることも禁止されています)
・切手、印紙など(一部の郵便局ではカードの取り扱いがあるようですが、収入印紙や宝くじはキャッシュレスは出来ません。)下記JPのホームページに詳しく書いてあります。
https://www.post.japanpost.jp/life/cashless/index.html

タバコはJT(旧専売公社)、切手はJP(旧郵政省管轄)、印紙は財務省、宝くじは自治省、健康保険は厚労省と管轄省庁が異なり、各省庁の温度差があります。日本の縦割り行政の問題点でもあります。
カード会社は、どこでも使えますと謳っていますが、健康保険法が改正されない限りポイント還元付きのカード支払は「違法」とみなされます。因みに保険治療をカードで支払っても、患者さんもカード会社も罰せられる事はありません。懲罰対象は取り扱った医療機関になります。

 東北厚生病院は当院と同じ理由で、健康保険のカード支払は取り扱っておりません。
他方、東北大学病院ではカードの取り扱いをしておりますが、財務省からの試験的導入と聞いております。しかし、厚労省の見解からすれば、合法な会計処理とは言えません。残念ながら、今日までこの件に関する訴訟も判例もありませんので、限りなくグレーゾーンと言わざるをえません。また、摘発されたという事例も無いので、このままうやむやのまま推移するのかもしれません。何かスッキリしませんし、不公平感は拭えません。

 昭和36年に国民皆保険が達成されるまでは、治療費の代わりに「野菜やコメ」などで支払う人もいたと、医者をしていた大叔父から聞かされていました。そういった事情があったので、窓口支払を「現金」に統一したのだと思います。半世紀以上前の法律を最近の金融事情に照会もせずに流布している国の責任もあるかと思います。白黒明確にしないのも日本人の特徴かと思いますが、かたや「OK」かたや「NO」では、私たちも惑わされている感はあります。
 患者さんの利益を考えたら、保険治療でもカード支払が出来るようにしてあげたい気持ちは当然あります。しかし、現時点で法的整備がなされていない以上は、保険でのカード取り扱いはコンプライアンスに反します。
 ホワイトブライトは、現法での「ホワイトゾーン」のみ扱いたいと思っています。患者さんにはご不便おかけしますが、我々の法令遵守の志しを御察しいただければ幸いです。

自費治療に関してはこれまでどおり、カードでの取り扱いもさせていただきます。
今後ともホワイトブライトをご愛顧戴きますようお願い申し上げます。

令和4年 3月 
ホワイトブライトデンタルオフィス